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HISTORY

 それは、2010年、わずか5年前の出来事でした。
 京都の二九精密機械工業(株) 社長 二九良三は、ある日の朝、新聞記事を眺めていました。その記事に取り上げられていたのは、大阪の(株)ティグ。チタンを用いて、自転車フレームや車イス、熱交換器などの工業用ユニットを設計・製作するチタン専門メーカーでした。その記事には(株)ティグ 社長 小澤隆治が四半世紀前に単身、米国のアナハイムショーに自作のチタン製自転車フレームを持ち込んで、孤軍奮闘した内容がつづられていました。

 二九精密機械工業(株)は、もともと仏具製作を生業として創業し、創業以来100年にわたる歴史を持つ京都の老舗メーカーです。現在では、製作するものは変わりましたが、顧客の要望に匠の技で応えるその姿勢は変わらず、古の技術と伝統をチタンの超微細加工技術に活かし、チタン製医療器具を製造してきました。
 チタン製医療器具、それはチタンの持つ人体親和性を活用した、金属としてはチタンでしか成し得ない現代医療に欠かせない製品です。人々の健康や暮らしを豊かにするかけがえのない最先端技術。二九良三は、これまでも自社の製品が組み込まれた医療装置等により健康を取り戻した人々の多くの笑顔を目にしてきました。それらは納品先やメディアを通しての間接的なものでしたが、二九良三にとっては十分幸せで、満足のいく事業でした。しかし、二九良三には、未だ秘めたる思いがありました。「自社の持つチタンの超微細加工を駆使して、エンドユーザーに喜びを伝えられるものに直接取り組みたい。100年の歴史をもつ自社技術で自ら新しいものを創造したい。その為には何に取り組むべきなのか。」

 そのような時に、(株)ティグ 小澤隆治に関する新聞記事を目にしたのです。偶然ではなく、必然であったのでしょう。二九良三の長きにわたる想いが、(株)ティグ 小澤隆治の記事に吸い込まれるように浸みわたっていったのです。
 二九良三は、すぐに(株)ティグの事を調べてみました。

(株)ティグは大阪にある18名ほどの小さな会社でした。しかし、創業者の小澤隆治は、創業以来35年チタン一筋で自社製品に取り組んでいました。一般の人達が「チタン」という言葉すら馴染みのない時代からチタン一筋でチタン製自転車フレームやチタン製車イス等の民生品に取り組んでいました。チタンの溶接技術を得意として、様々な製品を世の中に投入しましたが、芽の開いたものは、ほとんどありませんでした。
 小澤隆治は思っていました。「チタンなので軽くて丈夫なものは自社で造ることができる。ユーザーを魅了するような微細加工が出来れば、自社の自転車フレームももっと魅力的になるのに」と。

 二九良三は、すぐに小澤隆治を訪ねました。
二人は、チタンに関する想いを語りあい、意気投合したのです。

 「必然で繋がった2人の想い」、「チタンが繋げた2人の夢」、「二九精密機械工業(株)のチタン微細工技術と(株)ティグのチタンフレーム製造技術」、それらの粋がハイエンドロードバイクSAMURAIです。